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書評など

悪魔よりワルだなんてゆるされると思うか?「SAND LAND」


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ドラゴンボールでおなじみ鳥山明の漫画が映画化.物語の舞台は水が干上がった砂漠の国「サンドランド」.魔物と人間が共存する世界で悪魔の王子ベルゼブブと魔物のシーフ,保安官ラオが幻の泉を求めて旅をする.

老人と戦車

ベルゼブブが主人公なのだが本作の見所はかっこいい老人と戦車アクションだ.原作の漫画は鳥山明が老人と戦車を描きたいということで作られたらしく,間違いなくこの2つの要素が魅力的な作品となっている.

丸っこい戦車は内部のスイッチやレバーまで細かく描写されており,それらを操作して戦車を巧みに操るラオには経験を積んだ老人ならではのかっこよさを感じる.戦車のハッチを閉める動作一つを取ってもキャラクターの動きからレバーの重さが感じられ,こだわっているようだった.小さな戦車の中で3人が役割分担して動き回り,ときには重力操作や魔物の能力を駆使して敵を撃破していく様子は痛快だ.

子どもの頃に読んだドラゴンボールもメカや恐竜のデザイン,質感が丁寧に表現されていたように思う.恐竜の尻尾が膨らんでいるのは貴重な水を貯めるためなのかなとか,このドラゴンはオケラがモチーフなのかなとか設定を考えるのも楽しい.

敵となるゼウ大将軍はラオよりもおじいちゃんであり,体の一部を機械化して生きながらえている.フリーザのポッドのような乗り物にすっぽり収まって滑稽な見た目となっており,なりふり構わず生き延びることへの執着を感じる.徹底して悪役として描かれていたためラオの善性を引き立てていた.

美しいアニメーション

全編3Dではなく2Dと3Dが入り混じっていたが違和感は全くなかった.このようなアニメでは2Dと3Dのギャップに不自然さを感じることがよくあるが本作では全くない.

主人公ベルゼブブの言動は子どもそのものだが,悪魔の王サタンの息子であり,とてつもないポテンシャルを秘めていることを思い出させるシーンが何度かあり鳥肌が立つ.月明かりの下でエネルギーを吸収するシーンは神秘的で美しく,特に印象に残った.

砂漠なのに水着姿の悪党一家スイマーズも魅力的なキャラ.ふざけた見た目で厄介だが憎めない感じは,ドラゴンボールのピラフ一味やパラパラブラザーズと似ている.

SAND LANDはゲーム化も決定している.トレーラーを見る限り映画の世界がそのまま再現されており,様々なメカや生物も出てくるようなので期待したい.


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